人間は誕生してから言語を学び経験を積んで自己を形成してゆきます。自分が生きている社会環境や対人関係を安心して認識し、それを維持してゆくことができること、それこそが人間が誕生直後に母親に包み込まれるように抱かれて感じていた安心感が置き換えられてきたものなのです。
今日の社会は経済原理のもとに情報と物が氾濫していて、生き方や物に対する価値観も落ち着くまもなく変化への適応を余儀なくされてしまいがちとなっております。そのような状況の中で「安心できる環境や対人関係」を維持してゆくことは、もはや決して「できて当たり前」のことではなくなっているのです。メンタルな危機は、実はすべてこの「安心できる環境や対人関係」という土台の揺らぎからもたらされています。そしてその揺らぎに対する「ゆがんだ適応」として不安やうつ症状、引きこもりや摂食障害などのさまざまな症状が形成されてゆくのです。でも、そのような変化に必死に追いつき続けることが、はたして本当に「あなたらしく生きる」ことなのでしょうか。もっとゆったりした本当に「あなたらしい適応」は別の生き方にあるかもしれません。
私たちは、「メンタルな危機」を真に「あなたらしい適応」を得るためのチャンスとして捉えたいと考えております。私たちの出会いが、あなたの心の健康の回復と「あなたらしく生きる」ための成長につなげられるように、「寄り添う医療」を提供してゆきたいと思っております。
院長 儘田 孝